年齢を重ねて高齢になってくると、睡眠の質を左右する寝室環境はとても重要となってきます。
また、高齢者の自宅内での事故で多いのが「ベッドからの転落」事故です。
睡眠の質を高め、事故のリスクを減らすためにも、高齢者が使うベッドをしっかり選ぶことは重要なのです。
しかし、実際にベッドを選ぼうとしたときに、どんなベッドが高齢者に向いているの?と疑問に思う方もいらっしゃいますよね。
この記事では、高齢者向けのベッドを選ぶポイントや介護ベッドなどについて解説し、実際におすすめのベッドの紹介も行います。
この記事を最後まで読めば、高齢者に最適なベッドを選ぶことができ、日々の生活をより安全に、そして豊かにしてくれることでしょう。
高齢者こそ、ベッドをしっかり選ぶ必要がある理由
高齢者こそ、使用するベッドをしっかりと選ぶ必要があるといえます。
まずはじめに、そのようにいえる理由をお話ししていきます。
高齢者は布団とベッドどちらで寝るのが望ましいの?
私たち人間が寝るときには、大抵の場合ベッドで寝る人と布団で寝る人の2種類に分類されますよね。
では、高齢者が寝る際に使う寝具として、ベッドと布団ではどちらが適しているのでしょうか?
結論からいうと、高齢者にはベッドの方が適しているといえます。
高齢者にとって寝具を選ぶ際に重要なポイントはいくつかありますが、一番は「起き上がりやすさ」です。
床に直接敷く布団よりも、床からの距離があるベッドの方が物理的に起きあがりやすく、足腰の弱まった高齢者でも起き上がりが比較的楽になります。
また、介護が必要な高齢者であれば、介護者の負担も少なくなるのはベッドの方ですね。
ベッドが持つメリットについて、次の項で詳細を見ていきましょう。
高齢者がベッドを使うメリット
高齢者がベッドを使用するメリットはたくさんあります。
- 起き上がりの負担が少ない
- 暖かさや通気性に優れている
- ほこりやハウスダストを避けることができる
- 布団のように上げ下ろしする必要がない
- マットレスの寝心地が良い。
前の項で紹介したように、ベッドは布団よりも起き上がり時の負担が少ないです。
それ以外にも足腰の弱い高齢者にとっては、布団のように頻繁に畳んだり上げおろしする必要がなくなり、マットレスは寝ているときの体への負担を減らしてくれます。
また、暖かい空気は下から上へと流れていくため、寒い冬では暖房の効果をより高めることができます。
それに加えて、床から30cmくらいの「ほこりゾーン」を避けることもできるため、ほこりやアレルゲンを吸い込みにくくなる利点もあります。
高齢者が使いやすいベッドの選び方
ここからは、高齢者が使用するベッドの選び方について解説していきます。
ポイントは以下の5点です。
- 転落しないように適切なサイズのベッドを選ぶ
- 乗り降りが楽なベッドを選ぶ
- 高齢者に適したマットレスを選ぶ
- マットレスやシーツが簡単に取り換えできるベッドを選ぶ
- 狭い部屋でも置けるベッドや折りたたみベッドを選ぶ
転落しないように適切なサイズのベッドを選ぶ
高齢者の自宅の事故で多いのが「ベッドからの転落」です。
上の図は平成22年12月から平成24年12月末までの高齢者の住宅内事故発生場所毎の年代別の割合を表したグラフです。
発生場所で最も多いのが「居室」での事故です。
そのなかでもベッドからの転落事故は大きな割合を占めています。
ベッドからの転落を予防することは、高齢者の健康寿命の延伸を図るためにとても重要なことです。
そのためには、高齢者の身体に対して十分な広さのベッドを選ぶ必要があります。
乗り降りが楽なベッドを選ぶ
足腰が弱くなってくる高齢者にとって、起き上がりの負担が少ないベッドがおすすめだと前の項でもお話ししましたが、そのためには適切な「高さ」のベッドを選ぶ必要があります。
ベッドの高さは以下の4タイプに分類されます。
- 低い:30cm未満
- 標準:35~45cm
- 高め:50~60cm
- 高い:90cm~
ベッドの高さは、低すぎても高すぎても足腰に負担がかかってしまいます。
人の座りやすい高さは、身長の1/4の高さだといわれています。
あくまでも目安ですが、身長が標準よりも高かったり低かったりする方は参考にしてみてください。
おすすめは、標準:35~45cmの標準タイプの高さのベッドです。
また、細かい高さが気になる方は、自分で高さを調整できるようなベッドも最近は増えてきています(^^)/
高齢者に適したマットレスを選ぶ
先ほど解説したベッドの高さは起き上がりの負担を左右しますが、マットレスは実際に寝ている間の身体への負担を左右する重要な要素です。
1日の約1/3の長さの睡眠時間に影響してきますので、しっかり選びましょう。
一般的に、高齢者には高反発で適度な硬さのあるマットレスが、寝返りも打ちやすく腰への負担も少なくなるため推奨されています。
基本的には自分の好きな寝心地のマットレスを選ぶのが良いですが、参考にしておきましょう。
また、マットレスの厚さも先ほど紹介したベッドの高さを左右する要素です。
総合的に寝る位置がどれくらいの高さになるのかを、マットレスの厚さも計算に入れて検討しましょう。
マットレスやシーツが簡単に取り換えできるベッドを選ぶ
マットレスやシーツなどの取り換えが可能なベッド、かつ取り換えが簡単なベッドを選ぶことも重要です。
高齢になってくると、ベッドで過ごす時間も多くなってくる傾向があり、衛生面を考えるとマットレスやシーツを定期的に洗ったり取り替えたりすることが必要になってきます。
また、食べこぼしや飲みこぼしをしてしまう場合や、失禁の心配も増えてくる年代のため、そういった場合でも対応可能なベッドを選ぶことが重要です。
狭い部屋でも置けるベッドや折りたたみベッドを選ぶ
部屋の大きさに対してベッドのサイズを考えることも、ベッドを選ぶうえでの重要なポイントです。
高齢者の生活空間にベッドを導入する場合、狭い部屋にベッドを置く状況を考える必要がある場合があります。
部屋の広さと利用者の身体のサイズと照らし合わせて、ベッドのサイズを選びましょう。
また、折りたたみで楽に片づけることができる折り畳みのベッドもおすすめです。
介護ベッド(電動ベッド)ってなに?
身体機能の衰えやケガ・疾患などの影響から、他者による介護が必要な状態(要介護状態)となった場合は、介護ベッド(電動ベッド)の導入を検討することをおすすめします。
介護ベッドとは、背もたれの部分や脚部分が電動モーターの力でリクライニングすることができる電動ベッドです。
その他電動で高さ調整ができたり、角度を変えたりして、体の不自由な高齢者でも起き上がりやすい体勢に調整できるものもあります。
介護する側の人(介護者)の負担軽減も考えられており、ご家族や介護士の方にもメリットがあります。
高齢者向け介護ベッド(電動ベッド)のメリット
高齢者向けの介護ベッドには、以下のようなメリットがあります。
- 起き上がりがしやすくなる
- ベッドから立ち上がりやすくなる
- シーツの取り換えなどがしやすく、清潔が保ちやすい
- ベッドの上で食事がしやすい
- 介護者が介助しやすくなる
- 自分でできることが増える
介護ベッドは利用する高齢者の身体が不自由であることを前提に作られているため、第一に利用者への身体の負担を軽くする設計になっており、大きなメリットといえます。
さらに、利用者だけでなくご家族や介護士などの介護者にとっても、利用者を介助しやすい設計となっており、介護の負担軽減に繋がります。
そのほかにも、シーツの取り換えや拭き掃除などがしやすい設計になっているものが多く、清潔を保ちやすい点も、ベッドの上での時間が増える要介護者には嬉しいメリットですね。
高齢者向け介護ベッド(電動ベッド)の選び方
要介護者にとって「できること」を増やしてくれる介護ベッドはおすすめだとお話ししましたが、多機能なだけに高価なものが多い一面もあります。
利用する高齢者に必要最低限の機能が備わったものを選び、何とか価格を安く抑えたいという方もいらっしゃると思います。
介護ベッドを選ぶうえでの大事なポイントを整理しました。
是非参考にしてみてください。
- リクライニング機能が付いたものを選ぼう
- 高さ調整がしやすいものを選ぼう
- 操作がしやすいものを選ぼう
- 転落防止のサイドレールや手すりが付いたものを選ぼう
- マットレスは適度な硬さのものを選ぼう
リクライニングや高さ調整機能はあるとものすごく便利なので、ベッドの上で体勢を変えることが難しい方はこれらの機能が備わったベッドを選びましょう。
また、高齢者が使用することを考えると、機能性だけでなく操作性においても、「分かりやすいものかどうか」という点に着目して選んでみてください。
そのほかにも転落防止機能が付いたものや、寝返りが打ちやすい硬めのマットレスを選ぶなど、リスクや負担を減らす機能が付いたものかどうかという点も、着目すべきポイントとなってきます。
介護ベッド(電動ベッド)は介護保険の適用を受けてレンタルできるのか
介護ベッドは多機能な分、価格が高くなる傾向があります。
介護ベッドの必要性を感じ、導入を考えている方でも、高価な介護ベッドに経済的な問題からなかなか手が届かない方もいらっしゃると思います。
そのような方を助ける制度として、介護ベッドは介護保険の「福祉用具のレンタル」を適用することで、自費負担1~3割でレンタルすることができる場合があります。
しかし、利用するにはいくつかの条件を満たす必要があり、要介護度も2以上が必要です。
介護保険の適用を受けて介護ベッドをレンタルしたいのであれば、まずは要介護認定の取得、既にお持ちの方は担当のケアマネージャーさんに相談してみてください。
高齢者のベッドからの転落を予防する方法
高齢者のベッドの使用の際には、転落を防止する機能が備わったものを選ぶことや、転落防止の方法を考えることが非常に重要となってきます。
高齢者のベッドからの転落事故の発生件数は非常に多く、またその結果も重症化しやすいため、「要介護」状態へ移行してしまう場合もあります。
そのため、ベッドからの転落をどのように予防するのか、ということが非常に重要となってきます。
高齢者に多い「ベッドからの転落」事故
高齢者のベッドの使用時に怖いのが「転落のリスク」です。
上の図は平成22年12月から平成24年12月末までの高齢者の住宅内事故発生場所毎の年代別の割合を表したグラフです。
これを見ると「居室」での事故の発生が非常に高くなっていることが分かりますが、なかでもベッドからの転落は大きな割合を占めています。
また、上の図は住宅内の事故の危害の程度を表した表となっています。
65歳以上の方は65歳未満の方に比べて重症化しやすいことがはっきりとデータに表れていますね。
ベッドからの転落は特に、骨折などに繋がりやすく「要介護状態」への移行という結果にもなりかねません。
高齢者のベッドからの転落を予防する方法
ベッドからの転落を防ぐ、もしくは転落した際の重症化を防ぐためには、以下のような方法が考えられます。
- ベッドフェンスやサイドサポートを利用する
- ベッド横の床に衝撃吸収マットを置く
- 低床ベッドを選ぶ
ベッドからの転落を防ぐ方法として、ベッドフェンスやサイドサポートを活用する方法があります。
これらはベッドの横に備え付けることで、物理的に転落しないように利用者の身体を支えてくれます。
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また、転落を防止することも重要ですが、万が一転落してしまった際に重症化を防ぐ対策も効果的です。
ベッド横の床に衝撃吸収マットを置いたり、低床のベッドを選べば、転落の際の重症化を防げる場合があります。
しかし、低床のベッドは起き上がり時の足腰への負担は増えてしまうため、ケースバイケースでメリットとデメリットが存在します。
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これらのアイテムをうまく活用しながら、高齢者のベッドからの転落をうまく予防・対策して、安全にベッドのメリットを享受できるようにしましょう。
高齢者が使いやすいベッドのおすすめをご紹介!
ここからは、実際に高齢者におすすめのベッドについて紹介していきます。
ベッド セミダブル ポケットコイルマットレス付き ローベッド
高さが低いローテーブルで転落しても重症化しにくいベッドです。
洋室に合うウィンテージスタイルで良い意味で高齢者っぽくないおしゃれなデザインが魅力です。
シングルベッド マットレス付 すのこベッド
天日干しが難しいマットレスに、すのこの通気性の良さが相性抜群なベッドです。
ミドルタイプで立ち上がりも楽な設計になっており、高齢者にもおすすめできます。
高さが合わなければ3段階の高さ調整も可能で便利なベッドです。
アイリスオーヤマ 電動ベッド 完成品
背もたれは最大65°まで、脚部は最大16cmまで可動する電動ベッドです。
電動ベッドのなかでは価格が比較的安く、完成品で届くためプレゼントにも最適です。
厚さ15cmのマットレスは、高い弾力性で体を支えてくれるため、高齢者にもおすすめです。
プレジデント-GKA (専用マットレス+テーブル付) 電動ベッド 2モーター
背上げモードと脚上げモードの2モーター式の電動ベッドです。
左右の手すり付きで転落予防にも効果が期待できます。
セット販売のサイドテーブルがあるとお食事などより便利になります。
介護ベッド 電動ベッド MFB-890
4段階の高さ調整が可能な電動ベッドです。
枕もとのLEDとコンセントが便利ですね(*^^*)
電動ベッド 2モーター 家庭用介護ベッド シングルサイズ フレーム+マットレスセット
背中部分と足の部分が別々に動かすことが可能な2モーター式の電動介護ベッドです。
立ち上がりや転倒防止に便利で効果的な手すりが2個付いてきます。
開梱設置付き配送となっているのもおすすめのポイントですね(*^^*)
まとめ
今回は、高齢者におすすめのベッドの選び方や高齢者がベッドを選ぶ際の注意点について解説し、おすすめのベッドのご紹介をしてきました。
高齢者がベッドを使用することにはメリットがたくさんありますが、反対に転落などのリスクも生じます。
特に高齢者のベッドからの転落は、大けがに繋がりやすく重症化して「要介護」状態に移行してしまう場合があります。
転落のリスクに注意しながら、安全にベッドを使用することや、高齢者にも安全なベッドを利用することはとても重要です。
体の状態に合わせて、可能であれば介護保険などもうまく利用しながら、自分に合ったベッドやマットレスを選んで日々の生活を豊かにしましょう。
今回の記事が少しでも、参考になれば幸いです。
また、別の記事では高齢者におすすめの枕についての紹介もまとめていますので、興味がありましたらぜひこちらもご覧ください。
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