
皆さんこんにちは!ヨシダ課長です。
今回は、高齢者とそのご家族に向けた「高齢者だけでも入れる賃貸の探し方・相談先」についてご紹介します。

過去に4年間自治体の高齢福祉部局に在籍していた際、住まいでお困りになってしまった高齢者のお悩みを多く聞いてきました。それぞれの状況に応じて適している支援があるため一概にはいえませんが、その時の経験からお話ししていきます。
「住まい」の悩みを抱える高齢者は年々増加している。
近年の高齢化に伴い、様々な悩みを持つ高齢者やそのご家族が増えてきました。そのなかでも「住まい」のことで悩みを抱える方は多い印象です。
私が相談を受けた事例で多かったものをご紹介します。

今まで住んでいたアパートが取り壊すことになって退去を命じられてしまった。
引っ越しするお金も体力も無いし、支援してくれる家族もいない・・・どうしよう。

夫に先立たれ、今まで住んでいた家は広く感じる。
掃除や庭の手入れも大変だし、家を売って賃貸を探したいけど、どうやって探せばいいのかな?

一人暮らしの父親の家を探していて、良さそうな物件を見つけたけど
高齢の一人暮らしは孤独死や家賃滞納の不安があるからと管理会社に断られてしまった・・・
こういった相談が非常に多かったです。
支援する私たちも、困っている原因が何かによって、行政で支援するのが適切なのか、不動産会社に相談するのが良いのか、それとも地域の社会福祉協議会やNPO法人に相談するべきか、支援方針が異なります。
私たちでもケースバイケースで一緒に頭を悩ませるくらいですから、困っている当人は「どこに相談したらいいんだろう?」と不安になりますよね。
結論からいうと、第一歩として自治体の担当部局や地域の包括支援センターへ相談してみるのが良いと思います。その理由についても、後ほど解説します。
高齢者の一人暮らしは管理会社にとってリスクがある

一人暮らしの高齢者が賃貸の入居申し込みをする際に断られるケースは意外と多いようです。
理由としては、認知機能の低下による家賃滞納のリスクや、孤独死のリスクが挙げられます。
特に孤独死の場合は発見が遅れるほど後の処理が大変になり、最悪の場合事故物件になってしまう可能性もあります。
こうしたリスクは高齢者に限ったことではないですが、発生する可能性が高い点は否定できません。
また、身元保証人となる家族がいるかどうかでも変わってきますが、保証人になってくれる家族がいない高齢者もたくさんいます。
管理会社からすると、尚更リスクが高まりますよね。
こうしたある意味「仕方がない」背景により、一人暮らし高齢者の住まい探しは難しくなってきているのです。
公営住宅を選ぶ際のメリット・デメリット
上記のような悩みを抱える高齢者の選択肢の一つに、公営住宅があります。
公営住宅とは
公営住宅法に基づき、国の補助等により、地方公共団体が提供する賃貸住宅のこと。
低所得者向けに賃料が割安に設定されているのが特徴。
お金の面で住まいの悩みを持つ高齢者にとっては、家賃が安いためおすすめといえます。
しかし公営住宅は空きが出たタイミングでないと入れなかったり、自治体によって特定の条件が定められているため、条件を満たしているかどうかで申し込みの可否が決まります。
なかには同居する家族の存在を条件付けしており、一人での入居は公営住宅でも厳しい可能性もあります。
まずはお住いの地域の担当部局に問い合わせてみて、自分の住んでいる地域の公営受託の空き状況や入居条件を確認しましょう。条件に合うようでしたら、おすすめの制度です。
居住支援を利用した住まい探し

高齢者の住まいの悩みが増加してきている背景から、自治体や社会福祉協議会、NPO法人等による「居住支援」が充実してきています。
住まいの確保に困難を抱える方(住宅要配慮者という)たとえば高齢者、 障害者、低所得者、外国籍の人などに対して、民間 賃貸住宅への入居支援を行うことで、居住の安定をはかることを目的とした活動。
この「居住支援」はまだまだ発展途上の面もありますが、自分たちだけで賃貸を探すよりも断然効果的だといえます。
居住支援の内容はサービス主体によって様々ですが、例えば
・条件に合った賃貸物件を探す
・入居時の管理会社・家主との交渉
・入居後の見守り支援
といった内容まで支援してくれる場合もあります。
居住支援を利用する一番のメリットは、こういった団体と「繋がりがある」ということを管理会社、家主さんに知ってもらえることです。
この記事の序盤でも解説した通り、高齢者が入居を断られるケースの多くが認知症や孤独死のリスクを考慮した結果です。
しかし、入居後見守りなどの支援を行う団体がついていると分かれば、そういったリスクも軽減できますし、何かあった場合の管理会社からの相談先も確保できます。
居住支援団体の存在により入居先が決まった例をいくつも知っています。サービス内容が手厚い団体ほど住まいの悩みを解決しやすいといえるでしょう。
まずは自治体に相談!その理由をお話しします。
「住まいの悩み」に対して包括的な目で判断・情報共有ができる
住まいの悩みを抱えてらっしゃる方には、まずは住んでいる自治体の役所に相談してみることをおすすめします。
理由としては、自治体は「居住支援の包括的な情報を持っている可能性が高い」からです。

私が勤めていた自治体でも高齢者の住まいに関する相談は多くありました。そういった場合は事情をしっかりと聴取し、地域の包括支援センターや社会福祉協議会、居住支援団体と連携し解決に向かったアプローチをしていました。
実際に住まい探しや交渉をしてくれるのは居住支援団体になることが多いのですが、公的なサービスを含めた包括的な目で判断できるのはやはり自治体だと思います。
第一義的に自治体へ相談すれば、その後の各団体への連携や情報共有もスムーズにいくというメリットもあります。
最後の砦である「養護老人ホームへの入所措置」の権限を持つ。
今までお話ししてきたなかで、手を尽くしても住まいの確保ができないケースもなかには存在します。
極端な例ですが、ホームレスで食べるものもない、家もない、お金もない、家族もいない、高齢で働けない、という方が相談に来られた場合、どれだけ居住支援が整っていても条件的に住まいを見つけるのは不可能ですよね?
実際にそういったケースもあります。そんなとき、自治体は「できることはありません」と門前払いすることはありません。そういった方の所謂「セーフティネット」を用意することも、行政に課せられた重要な使命なのです。
ここで詳しく説明すると長くなってしまうので割愛しますが、「養護老人ホームへの措置入所」という方法があります。生活保護を受給しながら施設で最低限度の生活を保障する権限が、自治体の措置という制度によって与えられます。
こういった「最後の砦」ともいえる措置を行うことができる権限を唯一与えられている行政だからこそ、最初に相談に行くのに適しているといえます。
まとめ
今回は、住まいの確保について悩みを抱える高齢者とそのご家族に向けた「高齢者だけでも入れる賃貸の探し方」についてご紹介しました。
居住支援が整ってきたのは比較的最近のイメージがあります。だからこそ、居住支援という言葉自体に馴染みが無い方も多くいらっしゃると思います。
住まいの悩みを抱える方の状況は様々ですが、だからこそ居住支援団体は臨機応変に支援してくれるはずです。実際に悩みを抱える方にとっては、非常に心強い味方となります。
今回の記事が少しでも、悩みを解消する手助けになれば幸いです。それではまた。
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